相棒Season6・第7話(2007年12月5日放送)
「空中の楼閣」
ゲスト:村上淳 菊池健一郎
脚本:岩下悠子 監督:森本浩史
season6が始まってからこの『空中の楼閣』は久し振りに「相棒」らしい内容だと思いました。
このシリーズ、私の超個人的な感想なんですがイマイチしっくり来ないと言うか「相棒」らしくないな~って感じていたんです。
何が??って聞かれても答えられないのですがなんか感覚的にというか・・・
王道だけど「これぞ相棒」というテイストの回
だから妙にいらん事を考えてしまってたんですね。
season6が終わると初の映画化があるからその伏せんを入れ込まなきゃいけないのかな?とか、視聴率が良いから相棒ならではという遊び心が少なくなって数字取る事優先になっちゃってるのかな?とか・・・
全て私の勝手な思い込みなんですけどね
でもこの回は凄く良かった
レギュラー陣のクスっと笑える軽快なセリフのやりとり、
事件に関わる人達のプロ意識とそれゆえの諍い、
企業がひた隠す問題など上手に絡まりあい見事なテイストに仕上がっていて
「これぞ相棒だ」って素直に思えましたね。
王道といえば王道なのかも知れませんがでも何か安心した気持ちになれたよ~
その道のプロゆえのプライドと見下す気持ちが交差する
亀山美和子の初の単行本が出版されることになったが、編集者の勝村が殺されてしまい出版の話は無くなってしまいます。
美和子が書こうとしていた内容は大手企業(エリセ化粧品)の安全管理をテーマにした環境問題に切り込む内容だったのです。
そしてベストセラー作家の庄司タケル(村上淳)の人気小説はこのエリセ化粧品と関係があるのです。
映画化も決まり、美和子の本が出版されてしまうと色々と問題が起こると勝村と庄司タケルは揉めていたわけです。
勝村は自分の信念が強すぎる人ゆえトラブルを起こす事も多かった。
本の装丁を担当している安藤(菊池健一郎)とはうまくやっていたようだが、結局いつも勝村は安藤も認める事はなく、安藤は見下されていると感じていた。
そして美和子の本の装丁のほたるの絵を勝手に変えてしまったことにより殺してしまうわけです。
美和子の文章を褒めていて、冒頭の文章が人を引き込むと絶賛していたが、この文章を知っていたことが安藤が犯人だという決めてになったのです。
相棒によくある「その道のプロ」故にそのプライドを崩されてしまうことで犯罪を犯してしまう話がよくあります。
でも、実際には自分でその「プロの手」を汚してしまう訳で、それを諭す右京さんの言葉がどのストーリーの時でもグッと切ない気持ちに入っていきます。
今回の話の核に「見下す」というセリフがあります。
庄司タケル曰く「見下ろしているうちに見下すようになる」というのがありますが、彼だけでなく安藤も「見下す」という言葉に翻弄された訳です。
また、
犯人がわかった後でもうひとつ、美和子の環境問題の話と庄司タケルが子供の頃から発症している体調不良・首の湿疹が繋がるという所も話に厚みを持たせていて、とてもわかり易けれども単一的でなく上手に絡まりあっていて傑作だと思います。
また、笑いのテイストも随所にあって
米沢さんの訳あり男性論の自虐的な会話や
伊丹さんの美和子に対する「亀子」(亀山美和子だから略してカメコ(笑))とか、
たまきさんが難解な本が好きだというくだりで「難解な人と暮らしてましたから」と右京さんへの皮肉だったり、
どこにでも出没する特命係、とくに亀山君に対して
伊丹「座敷わらしですかっ」
亀山「会うと運が良くなるよ~(笑)」
伊丹「ふざけるなっ」
という亀山×伊丹の笑えるやりとりなど相棒らしいエッセンスが入っていたのも楽しめた要因だと思います。
最後、庄司タケルの記者会見を街頭モニターで見た2人が最後納得したように歩き出して「蕎麦食べに行きますか」というやりとりも右京さんと亀山君のコンビならではのホッとするラストシーンのやりとりでしたね。
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