相棒Season1・第7話(2002年11月20日放送)
「殺しのカクテル」
ゲスト:蟹江敬三 草村礼子
脚本:桜井武晴 監督:大井利夫
「相棒」初期の作品に多かった「職人ゆえ」の犯罪 のお話し。
その中でもこの作品は最初に犯人がわかっているので、
どうやって辿り着くのかという事をお洒落な雰囲気とコミカルさも加えて、とても大人の上質な作品になっていると思います。
蟹江敬三さんのバーテンダー役が目を引く、初期作品の傑作話
もちろん、
犯罪は絶対にいけないのですが、
この話は「人の想い出」を焦点にあてていました。
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バーテンダーの三好(蟹江敬三)がオーナーの倉沢を殺すシーンから始まります。
理由はオリジナルカクテルを缶入りにして販売しようとしたこと。
薫は美和子とのデートで喧嘩し、美和子は家出。
するとすれ違いに美和子のおば様であるアキコおば様がやってくる。
ロンドン住まいで浮世離れしたアキコおば様に振り回される薫。
アキコおば様は亡くなったイギリス人のご主人との想い出のレストランバーで作ってもらったオリジナルカクテルをもう一度飲みたいという。
美和子と一緒に探すが中々みつからない。
一方、倉沢の胃からアルコールと梅干・ミントが検出される。
右京は倉沢と長い付き合いである「リメンバランス」のバーテンダーである三好のバーに行く
そこで三好が犯人であることを確信する右京
アキコおば様の想い出のカクテルは「少し塩気のあるミントの味がした」と聞いた右京は三好がそのカクテルを作ったバーテンダーだと気付く。
右京はアキコおば様と薫・美和子を連れて「リメンバランス」へ。
三好はアキコを見てすぐに30年前にイギリス人の恋人と来ていたと気付く。
しかし、
アキコおば様の飲みたい想い出のカクテルを「覚えている」と言ってしまうと、自分が犯人であると言ってしまう事になる訳です。
言い淀む三好にアキコは
「30年も前の事ですものね、覚えてなくて当然です」と笑顔で言う。
そんなアキコの姿を見て三好は
「覚えていますよ、お作りしましょう」とカクテルを作り始めるのです。
そして、
ドアの看板を「OPEN」から「CLOSE」にそっと掛けかえる三好。
何かこのシーン好きなんですよね。
想い出のカクテルは
イギリスのジン・グリーンミント・日本の梅干で作った
『ベストパートナー』
イギリス人のご主人と日本人のアキコおば様の為に作ったものです。
三好が缶入りカクテルを固辞した理由には
「どのカクテルにもドラマがあり、想い出がある」という信念があったから。
まさにこのお客様とカクテルを大切にしているから、
自らの犯罪を隠すよりお客様の想い出を大切にした三好に少なからず敬意を持った右京さんだったのかなと思います。
どんな犯罪も許さず、時に激高したり、冷静沈着に犯人を追い詰める右京さんですが、
この話のラストでは
「最後に楽しい想い出が出来ました」とお礼を言う三好に
「こちらこそ」と応えるんですよね、右京さん。
ジャズの音楽が流れる中、
静かにこのようなやりとりをする2人と、
『ベストパートナー』を飲みながら談笑する
薫・美和子・アキコおば様のラストシーンは
刑事ドラマという事を忘れてしまうくらい上質な仕上がりになってると思います。
相棒ではプロとしてのこだわりが招く犯罪が多かった
ちなみに右京さんが何故三好が犯人だと気付いたかというと、
「初めてお会いした時から、バーテンダーが爪の手入れを欠かしてはいけません」と。
プロゆえの犯罪と、
そのプロがプロを忘れてしまってる所を見逃さない右京さん。
薫と美和子、そしてアキコおば様のコミカルなやりとりと、
右京さんと三好の静な感じでのやりとりのバランスが本当に絶妙で、
そして何より蟹江敬三さんの渋いバーテンダーの役が見事で、
傑作回と言われるのもうなずけます。
私もかなり好きな話の一つになってます。
そして、
刑期を終えた三好が再び、
シーズン6・第14話「琥珀色の殺人」で登場します。
そちらの感想はまた後程・・・
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