相棒Season3・第19話(2005年3月23日放送)
「異形の寺」
ゲスト:高橋由美子 高橋惠子 西村雅彦
脚本:輿水康弘 監督:和泉聖治
※DVDなどでは第18話となってたりしますがシーズン3では第7話が欠番扱いになっているため正しくは19話です
トランスジェンダーを扱ったお話です。
トランスジェンダー(Transgender)とは身体的性別と性自認が一致しない人
性同一性障害(GID)による戸籍上の性別変更を可能((性同一性障害(GID)による戸籍上の性別変更を可能とする特例法が2003年成立、翌2004年7月より施行される))とする
特例法が施行された8ヶ月後の放送
相棒ではその時々の時事を取り入れた話もとても多いです。
相棒season3最終回スペシャルは高橋由美子さんが二役に
season3では亀山さんと美和子の別れ、鹿手袋さん(西村雅彦)の存在も物語の要因でした。
その鹿手袋さんと公園で話をしていた亀山さんが全裸の幽霊を見てしまいます。
そして亀山くんが池から髑髏を引き上げてしまう所から物語が始まります。
その後池から白骨もみつかり検視の時には性別・黄色人種・30代という事もわかってしまう右京さん。
それには検視官も
「君なら死因もわかるんじゃないか?」と言われます。
またその後
検死結果を伝えに来た鑑識の米沢さんはこの白骨に「レディーX」と名付けます。
米沢さん曰く
「骨だの白骨死体など呼ぶのは味気ない」
「きちんと自分の目で確認した上で命名しました」との事
こういう所が米沢さんらしくてクスッと笑いのエッセンスになっています。
そしてそこからカービング(複顏法)でレディーXの顔がわかりました。
この顔にそっくりな人がお寺にいると小野田官房長(岸部一徳)が右京さんに告げて実際行ってみると雀蓮(じゃくれん)という尼さん(高橋由美子)がいました。
彼女は双子の弟がいて施設で育ったとの事。
同時に捜査一課では白骨の歯型から“飯島佐和子”という女性であることを突き止めこの女性が雀蓮に戸籍を変えてることを知り寺へ向かいます。
寺から出てきた特命係と寺へ行く捜一トリオ
ビックリする伊丹刑事の亀山君への
「参った、降参、お手上げ、何で先回り出来るんだ!」と。
亀山くんは当然そのことは知らないから
「え!?飯島佐和子は死んでるってこと?」と驚きます。
「白骨になっていたらだいたい死んでるんじゃないですかね」と伊丹刑事
そして実際の雀蓮を見て口をアングリ開けてる捜一トリオの顔が笑えます。
何がどうなっているのかわからない
亀山くん&捜一トリオに対して右京さんは
「弟さんではないですかね、双子の。赤の他人が戸籍をいじるのは大変だけどそっくりな姉弟ならハードルが低くなる」
そして
「尼寺にいるからって簡単に女だって決めつけるのはどうかと思いますよ」って。
間髪入れずに
「決めつけますよ、普通は」と亀山くんの突っ込みが入ります。
警察の動きに気づいた雀蓮の師匠である蓮妙(あんじゅ)は
「あと1週間待ってください」と言います。
この1週間というのが肝で
しかしこの1週間を待てない右京さんは雀蓮さんを問い詰め弟のしゅんたろうである事を認めます。
死体遺棄罪の時効は3年、
その3年まであと1週間だった訳なのですが雀蓮は姉の戸籍をいじっている
公正証書原本不実記載の罪にもなるのです。
この公正証書原本不実記載の時効は5年
死体遺棄の方が罪が大きいと思われるが実は戸籍を勝手にいじることの方が罪が重いわけです。
姉の佐和子は
である弟のしゅんたろうのせいで結婚が破断になります。
死にたいと落ち込む姉に一緒に死のうとしますが結局姉の佐和子だけが服毒で亡くなってしまいました。
そして1度でいいから女として気兼ねなく生きたいと思ったしゅんたろうが戸籍を借りてしまったんですね。
でも結局罪の意識に耐えられなくなり出家したわけですがこの出家先の蓮妙さん(高橋恵子)こそ雀蓮の母親だったのです。
最後雀蓮さんが蓮妙さんに
「どうしてちゃんと生んでくれなかったの?」
「誰のせいでもないよね。私のせいでもないよね」と
泣くところは自分の性で苦しんで生きてきた事がすごく表れていて泣けます。
結局時効を待たず雀蓮さんはお姉さんの亡骸を引き取り供養します。
それはイコール捕まることになりますが。。。
右京さん幽霊を見たいと思うくらいに興味津々
薫ちゃんが幽霊を見たと知る
「嫉妬を覚える」
と言った右京さん。
イギリスに留学中には幽霊スポットに何箇所も足を運んだそうですが
「一度もお目にかかったことがありません」
「僕には幽霊をみる能力が欠如しています」と。
薫ちゃんは
「インテリが何で幽霊なんて非科学的な物に興奮するのか?」
と不思議がっていましたが・・・
最初にも書きましたが相棒ではその時々の時事問題を扱う社会派的な話もとても多いです。
良いとか悪いとかではなく相棒ならではの角度で問題提起をする重悲しいストーリーの一つではないでしょうか。
そして高橋由美子さんが自分の性に悩み、苦悩した日々や姉に対する複雑な思いなどを見事に演じていたと思います。